予讃線(よさんせん)は、瀬戸内海と宇和海に沿って香川県高松市の高松駅から愛媛県松山市の松山駅を経て、愛媛県宇和島市の宇和島駅に至る四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線(幹線)である。このほか向井原 - 内子間、新谷 - 伊予大洲(実際は伊予若宮信号場)間の支線を持つ。
日本国有鉄道(国鉄)時代は予讃本線と呼ばれていたが、民営化後の1988年にJR四国は線路名称を改正し予讃線に改称された。高松 - 坂出 - 宇多津間は本四備讃線・宇野線とともに瀬戸大橋線という愛称が付けられている。
なお、『時刻表』や『鉄道要覧』では内子経由の短絡ルートの分岐点を伊予大洲駅としているが、実際の分岐点は五郎 - 伊予大洲間にある伊予若宮信号場である。ここでは便宜上『時刻表』や『鉄道要覧』に倣い伊予大洲駅を分岐点として記述する。
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路線データ [編集]
管轄・路線距離(営業キロ):
四国旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
高松 - 宇和島間 297.6km
向井原 - 内子間 23.5km
新谷 - 伊予大洲間 5.9km(新谷 - 伊予若宮信号場間は3.5km)
日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者):
高松 - 伊予横田間 (203.0km)(2008年3月15日改正現在、実際に定期貨物列車が運行されているのは高松貨物ターミナル - 松山間)
軌間:1067mm
駅数:
旅客駅:94駅(起終点駅・臨時駅含む)
貨物駅:1駅(高松貨物ターミナル駅)
複線区間:高松 - 多度津間
電化区間:高松 - 伊予市間(直流1500V)
閉塞方式:全線CTC化
複線自動閉塞式(高松 - 多度津間)
単線自動閉塞式(多度津 - 向井原 - 内子間、新谷 - 伊予若宮信号場間)
特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)(伊予上灘 - 伊予白滝間)
自動閉塞式(特殊)(上記以外の区間)
最高速度:
高松 - 松山間 130km/h
松山 - 内子間、伊予石城 - 卯之町間 120km/h
新谷 - 伊予石城間、卯之町 - 宇和島間 110km/h
向井原 - 伊予長浜 - 伊予若宮信号場間 85km/h
最急勾配:33‰(八幡浜-伊予石城間、下宇和-立間間、伊予吉田-高光間)
最小曲線半径:200m
概要 [編集]
松山以東は国鉄時代から四国の重要幹線として位置づけられ、早くから一線スルー化やRC(遠隔操作)化でスピードアップに取り組んでいた。さらに1986年、向井原 - 伊予大洲間について内子経由の新線が完成し、これまで伊予灘に面した伊予長浜経由の従来線で運転されていた特急・急行列車は、内子線を含めた内子経由の短絡ルートに変更され所要時間が短縮された。このことは、従来線でしばしば起こった台風上陸などによる運転見合わせから解放されたという点でも重要である(2005年夏に、相当な豪雨のため、並行する松山自動車道や国道56号、長浜経由の旧線と並行する国道378号がすべて不通になったときもこの路線だけ不通とならなかった)。しかし依然として八幡浜 - 宇和島間は、総じて旧線と同じくらいかそれ以上に険しい道のりであり、2006年夏に八幡浜 - 双岩間で倒木に上り特急列車(2000系)の先頭車が接触し損傷してからは、旧線が運転見合わせになった場合、ほぼそれに合わせて徐行または運転見合わせをするようになった。民営化後も高松から伊予市までの電化による電車(8000系・7000系)の投入や重軌条化、未改良だった駅構内の一線スルー化、弾性分岐器化により高速化が図られ、単線区間を運転する列車の表定速度は全国でもトップレベルである。
ただし、多度津以西は単線であるのと、各駅の有効長が特急停車駅でも8両であるため、輸送力は限界に来ている(ダイヤを見れば分かる通り、交換駅ではほとんど待避列車がある)。また、特急停車駅以外では有効長の短い駅が多いのと運転停車を減らすため、ダイヤ面で特急列車の交換は極力特急停車駅で行うように苦心している。特に松山駅以西では多客期に特急列車を増結して最大8両編成(通常は3 - 4両、朝の上り「しおかぜ・いしづち10号」のみ通勤通学対応で7両)にするために、交換駅の変更やローカル列車の運転時刻変更を余儀なくされている。なお、かつて特例として、団体輸送のためにキハ185系「しおかぜ」の5両編成を2組併結した10両編成や1990年11月ダイヤ改正前に2000系の松山運転所への車両の送り込みで6両(営業)+4両(回送)の10両編成で高松 - 松山間を運転したことはある。
近代的な線路と裏腹に、通票閉塞時代の面影を残す駅が多く、昔ながらの雰囲気を好む鉄道ファンを喜ばせている。
トンネル断面(建築限界)が小さいまま電化したため(かの身延線よりも小さい)、パンタグラフ折りたたみ高さが3900mm以上の電車(JR四国以外の電車のほぼすべて)は予讃線高松側から最初のトンネルである箕浦駅西側の鳥越トンネルを越えて愛媛県に入ることができない(貨物列車牽引のEF65形・EF210形電気機関車および285系(サンライズエクスプレス)は鳥越トンネル通過対策済み)。また、「マリンライナー」専用車の5000系は、223系がベースとなっていてパンタ折りたたみ高さが3900mmを超えるため、JR四国の電車では唯一鳥越トンネルを越えられない。
なお、JR四国は2006年に国土交通省交通政策審議会・交通体系分科会の地域公共交通部会に提出した資料で、長期的に望まれる投資に、伊予市駅 - 内子駅 - 宇和島駅間の電化と伊予西条駅 - 松山駅間の短絡線(高縄半島の付け根を結ぶ)建設を挙げている[1]。ただし、これはあわせて挙げられているフリーゲージトレインによる瀬戸大橋線を介した新幹線との直通列車の運行とセットになったものと考えられる。
路線風景 [編集]
予讃線の沿線には日本100名城にも選定されている城が多い。特に日本に12箇所しか残っていない現存天守のうち、丸亀・松山・宇和島の3城を沿線に持つ。予讃線始発駅は高松駅。本州四国連絡橋ができるまでは、宇高連絡船が高松城(別名玉藻城)の月見櫓を横に見て入港した。丸亀城天守は丸亀駅南側の石垣で覆われた亀山山頂(標高66m)にあり、車窓からも見える。
高松からしばらく住宅地と田園風景の入り混じる中を走り、海岸寺から詫間にかけては海沿いを走る。この両駅の間には、毎年8月4・5日の津島神社大祭期間中しか営業しない臨時駅の津島ノ宮がある。詫間から観音寺までは内陸部を進み、香川・愛媛県境付近で再び海沿いに出る。愛媛県に入ると川之江や伊予三島の製紙・化学工場が海側に広がる。新居浜・伊予西条付近では、四国最大の工業地帯を北側に、西日本最高峰の石鎚山から続く山並みを南側に望むことができる。なお、伊予西条駅の2・3番ホーム上には石鎚山系の伏流水を引き入れた「うちぬき」のモニュメントがある。
伊予小松からは西進するほうが松山市に近いが、予讃線は四国第5(県都以外では四国最大)の都市・今治(ちなみに利用者数は愛媛県で2位である)を無視できず、海岸線と並行するように北へと回り込む。その今治には、しまなみ海道の来島海峡大橋や今治城の模擬天守があるが、市街地の向こうにあり良く見えない。大西から大浦付近にかけては予讃線電化区間で最も長く瀬戸内海に沿い、視界が良好な日には広島県の島々まで見渡せる絶景区間が広がる。日本最古の道後温泉を擁する四国最大の都市松山は、明治の俳人正岡子規に「春や昔十五万石の城下かな」と詠われた城下町で、駅の東側に松山城天守が標高132mの勝山山頂にそびえ、西側に西欧の古城の形をした松山総合公園展望台(標高131m)が見える。
伊予市で電化区間が終わりを告げ、その次の向井原では旧線と新線が別れる。旧線には下灘や串など海に近い駅として知られる駅があり海岸路線のイメージが強いが、伊予長浜で進路を南東に変えると伊予大洲まで肱川をさかのぼる。一方、内子を経由する新線には四国最長の犬寄トンネル(長さ6,012m)を始め多くのトンネルが介在し、山峡の風景はあまり広がらない。新旧両線が合流する伊予大洲から宇和島寄りに少し進み肱川橋梁(長さ269m)上に出ると、車窓には2004年に再建された大洲城の木造復元天守が現れる。
夜昼トンネル(長さ2,870m)を抜けると港町八幡浜へ向かう下り坂の行路となるが、八幡浜駅を過ぎても海岸には沿わず、最大33‰の急勾配で再び山中に分け入り、やがて穀倉地帯の宇和盆地へと達する。内子以西では、この宇和盆地内の平坦で直線区間が多い伊予石城 - 卯之町間だけ120km/h走行が可能である。下宇和から終点宇和島駅まで一気に下る途中ではリアス式海岸の風景が顔を出し、予讃線のハイライトとなっている。宇和島城天守は宇和島駅から徒歩15分ほどの標高80mの山頂にそびえている。